[半月通信] 善意の陥穽 - シッポ追いの日々

[半月通信] 善意の陥穽

とある公園の地域猫が元旦に倒れた。
ボランティアさんが保護して診察を受け、幸いにも翌日には復調した。
もともと腎臓が弱いこともあって、療法食を与えられていたのに人間用に味付けされた食品を与えられたのが原因だと考えられている。
悪意による虐待ではなく、無知によるものと考えていいだろう。

「お腹を減らしていてかわいそう」
そう考えて、猫に人間の食べ物を与える人は多い。
しかし、人間の食べ物は猫にとっては、しばしば有害だ。
塩分、油分、調味料、etc.
揚げ物や炒め物、煮物、薬味のついたもの。
そういった食べ物は、じわじわと猫の健康を蝕んでいく。
また、ものによっては一気に寿命を縮めることもある。
あげるならペットフード、だ。

また、あげ方も問題になる。
私の身辺でよく見かけるのは、スーパーの水濡れ袋に入れたドライフードを投げ込むように置いていくパターン。
なんだか鼠小僧のようだが、引き裂かれた袋と食べ残しがいかにもゴミ然としている。
案の定、「猫なんかいるから、ゴミが投げ込まれる」というクレームが発生し、猫の居場所を奪っている。
缶詰の蓋を開けたきりで放置していくのも問題だ。
底の隅までは猫も食べきれないため、残った中身がいたみ、臭いの元になったり、虫が来たりする。

特にやせ細っていたり、捨てられたり迷子になった直後ではない限り、外で見かける猫にはたいがい世話をしてくれている人がいる。
周辺の環境が荒れていないということは、世話をしている人が掃除や片付けもしている可能性がある。
餌を放置することは、せっかく地域で猫の居場所づくりをしている彼らの立場を悪化させることにつながるかもしれない。

どうしてもあげたいなら、目の前で食べきれる量の猫に害のないペットフードというのが無難だ。
それでも病気持ちで療法食を食べている猫には良くないかも知れない。

善意から出た行為も、必ずしも良い結果に繋がるわけではない。
そういったことを考えるのが、結局は猫たちにとって一番良いことではないだろうか。

世話をしている人がいるのかどうか、いたら何かできることがないか尋ねてみる。
本当はそれが一番いいのではないかと思う。

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コメント(2)

こんばんは。
杜の都の某所では、朝、夕方に、塩気のないご飯を届けてくれる方々がいらっしゃいます。
でも、水が肝心らしく、皮膚病の子もいます。私は、撮影のお礼にドライフードをあげています。
概ね、平穏な時間が流れており、これからも足を運ぼうとおもいます。
遠くて近い、近そうで遠いネコたちの姿をこれからも見守ってゆきたいです。

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