[半月通信] 変更された東京オリンピック・カヌースラローム施設予定地 - シッポ追いの日々

[半月通信] 変更された東京オリンピック・カヌースラローム施設予定地

map2015.png
(図は計画変更の記事を参考に制作)


昨年(2014年)6月に、都立葛西臨海公園の敷地から隣接地に変更が決まった東京オリンピックのカヌースラローム会場予定地。赤く塗った部分がその敷地になる(自分で塗ったから、ちょっとずれてるかも)。
自然破壊への反省を踏まえて作られた公園の直接破壊は免れたわけだけれども、これで万事解決なのかというと、個人的には、ちょっと疑問が残っている。
ひとつめは、建設に関すること。
施設は自らにょきにょき生えてくるわけではないので、大量の資材が運び込まれ、大規模な工事が行われることになる。
緑の公園敷地と予定地が重なっている部分は、現在駐車場として使われているので、工事車両の進入路は確保できるだろうし、資材の蓄積も建設敷地内でなんとかなるのではないかと思う。
でも、建設による振動や騒音の環境影響って、どうなんだろう?

もうひとつは、施設と排水。
カヌースラローム施設は、上から真水を流す、でっかいウオータースライダーみたいなもののようだ。
その水量は1秒間に13立方メートル以上にもなるという。水は循環使用(下まで行ったら汲み上げて上から流す)するようだけれど、永久に保持されるわけではないので、いずれかの段階で荒川に放水されることになりそう。
まさか川の水をそのまんま施設で使う仕様にはならないだろうから、使われるのはプールの水に近い水質の水になることが十分考えられる。

でも、ここは荒川河口の汽水地域。
真水の流入量が増えるだけでも底生生物を含む環境に影響が出るのではないかと危惧してしまう。
もし、十分に処理されず消毒に使った物質が残ったまま排水されでもしたら、もっと悲惨なことになるのではないかと心配だ。
ちなみに荒川河口周辺は、昭和33年の本州製紙汚水放流事件、別名「黒い水事件」で漁業が壊滅的な被害を受けた旧江戸川の河口と隣接している。この事件は葛西臨海公園の建設理念にもつながる甚大な環境被害であり、対岸の千葉県浦安市の漁業権放棄(これは東京湾の埋め立ても原因だけど)とも関係が深い。
カヌースラローム施設の水は黒くはないだろうけど...似たような被害を繰り返すのは絶対に避けてほしい。
この一帯は水質が向上し、近年は海水浴場が復活する可能性だって出てきているのだから。

予定地が変更になったんだから、もういいだろう!と怒られそうだけど、環境に対してやっちゃったことは取り返すのが難しい。
葛西臨海公園が建設されたのは、バブル景気真っ盛りの頃。
また環境破壊を反省することになっても、もう当時のように再建に巨額を投じるのは無理だろう。
河口部の環境が上流の環境に影響を与える可能性についても不安が残るし、この予定地に係わることは、引き続き見守っておきたいことのひとつだ。

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このページは、fixxが2015年6月 9日 05:42に書いたブログ記事です。

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