そういえば、外猫を撮ろうと意識したのは10月だった。
写真そのものとの付き合いは長いし、仕事にもしてきた。そのせいか、写真を趣味として捉えるのは難しかった。
以前プライベートで撮っていたのはバスケットボールの写真だったが、選手の顔が写っているものをそう勝手に使うわけにも行かないので、個人的な記録とするしかなかった。
それはそれで楽しかったけれど、空しくもあった。
建築や風景、植物を撮るのもよかったが、元来、風景にすぐ感銘するたちなので、テーマを絞らなければ無制限に撮り続けてしまう。
おかげで何がしたいのかわからなくなる。
おまけに静物や風景に情感を乗せはじめると、実体から遠のくようだった。
そんなとき、外猫の写真を撮った。
猫好きではあるけれど、もともと私はポスターやカレンダーに使われる猫の写真があまり好きではなかった。
実物の猫なのに、なぜか現実感の無い姿が嫌だった。
しかし、外猫には存在感があった。
撮る側の意図をあっさり裏切る力を感じた。
何より、撮ることを可愛がっている、遊んでいると思ってくれるモデルたちがいた。
おかげで、以来ずっと猫を撮り続けている。
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