はじまりはどんなだったのだろう。
洞窟の住居の奥、ネズミなどの小動物や虫を目当てにヒトに近づいてきたのか。
放射冷却の夜、火の暖かさと食べ物の匂いにつられてやってきたのか。
あるいは食用に捕らえていた獲物に情が移ったのか。
それは好奇心の強い若いオスだったかもしれない。
食べ盛りの子どもに悩まされる母親だったかもしれない。
あるいは警戒心の薄い子どもだったのかも。
どんなだったにしろ、そのときヒトは言ったはずだ。
「ここへこい」と。
そしてネコはきた。
とんでもなく永い時間が過ぎた後も、その言葉は生きていて、
ぼくらは約束を守らなければならないのではないか。
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