1週間前のこと。
新年明けたばかりの昼下がり、人気のない裏通りじみた遊歩道を自転車で走っていた。
と、路傍に横たわるヒトが...。
酔っている?
仰向けになり、目を閉じたまま、両手を上にかざしてゆっくり空を撫でるような仕草をしているヒトがいた。
汚れた作業着姿で、靴は履いておらず、見たところ60歳以上の男性だ。
「道端で寝てると危ないですよ」
そう言って通り過ぎようとした時、男性の手の甲が目に入った。
異様なぐらい真っ白だ。
貧血か低体温かも?
自転車を降り、男性の傍らに膝をついて呼びかけてみる。
「どっか具合悪い?救急車呼ぼうか?」
返事はない。
無視されたというより、言葉に反応していないようだ。
男性は目をつぶったまま、あいかわらずゆっくりと手だけを動かしている。
その様子がまるで死にかけた昆虫のように見えると同時に、そんな想像をしたことを後悔した。
事件性はなさそうだが、いきなり救急車を呼んでいいものか分からず、とりあえず110番通報。
警察から救急車を手配して貰って、現場で待つこと15分。
その間に通りがかった通行人が役所かどこかに連絡し、ほど近い施設の職員が駆けつけて、にわかに周囲は騒がしくなった。
警察官が到着、「第一発見者はどなたですか?」
皆が私を見る。
発見から通報までの経緯を説明しているうちに救急車が到着。
「あ〜これはたぶん低体温ですね、夜、道の脇で寝ていて寒さにやられたんじゃないかな」
救急隊員が男性をストレッチャーに移しながらそう言った。
「事件性はないようです、何もなければ連絡はしません。もういいですよ」
警察官に言われ、その場を離れた。
以来、何の連絡もない。
きっと男性も助かったのだろう。
それはいいのだが...。
人通りが少なかったとはいえ、昼過ぎまでジョガーや通行人があの遊歩道を通らなかったとは思えない。
あの男性は誰の目にも映らなかったのだろうか。
それとも面倒に巻き込まれたくなかったのだろうか。
僕らの世界はそんなもんなんだろうか。
すごい体験。
おぢさんは、感謝しなきゃね。
きちんと動けるって素敵ですね。おいらも見習いたい。
まずは、節穴をなんとかせねば
似たような体験があります。その方はホームレスの人かどうかはわかりませんが、今の社会は弱者に冷たいですよ。救急車で運ばれた方は、その後どうなったでしょうね。
病院からすぐ追い出されるようなことを聞いたことがあります。
以前、遊歩道の橋の下で動けない状態の人が10日ほど横たわっていました。通行人もおまわりさんが自転車でそばを通っても知らん顔でした。
救急車を呼んでも、税金を払っていないので来てくれないよという人もいました。猫ちゃんの世話と一緒に、飲み物と食べ物をそばに置いたこともあります。ある日ぱったりいなくなったので、公園掃除のおじさんに聞くと、亡くなったか、病院に連れて行かれたのではないかとのことで
分からずじまいです。
格差社会とか言われて、温かさのない、冷たい世の中になったと嘆いています。