ひとつめの出来事
路上でしゃがみこみ、中猫を撮っていると不意に後ろから声をかけられた。
「おい、この辺で猫に餌やってるのはお前か?」
振り返ると、言葉の内容から想像できるような人相風体の男性が立っていた。
「写真を撮っているだけですが、何か問題がありますか?」
「ふん、そいつらには迷惑してるんだ」
公道上だし、ご飯はあげていなかったので、もうちょっと言い返したいところだったが、下手に刺激すると猫に八つ当たりされるかもしれないので、適当に会話を打ち切った。
ふたつめの出来事
空き地で猫の兄弟を撮っていると、不意に後ろから声がした。
「あ、ごめんなさい。邪魔ですか?」
振り返ると、年配の女性がしきりに頭を下げていた。
「猫にご飯をあげたいんだけど、邪魔ですよね?」
「いえいえ、いまどきます。どうぞあげてください」
食事の邪魔をして、むしろ謝るのはこちらである。
おそらく何度も荒い言葉を投げられたりしたことがあるのではないだろうか。
急いで作業を済ませ、会釈して去っていった女性を見送りながら、そう思った。
いろいろ経緯はあるだろうから、一度の出来事で何かを論考してしまうのはやめておこう。
いまはただ、ほんの1時間ほどの間に、こんな出来事があったというだけ。
でも、どちらの現場も注意して訪れるようにしようと思う。
コメントする