[半月通信] 人が作った環境は破壊していい? - シッポ追いの日々

[半月通信] 人が作った環境は破壊していい?

2014都知事選の公示日が近づいてきた。
今回の争点は、国政に関わるような大きなテーマになりそうだ。
でも、都民としては、もっと地域的なことが気にかかる。
そのひとつが2020東京オリンピックの施設建設だ。
私の暮らしている江戸川区に葛西臨海公園という都立公園がある。
東京湾に面した約81万平方メートルの都内最大規模の公園だ。
平成元年に開園したこの公園の建設には、昭和33年の本州製紙事件(黒い水事件)や埋め立て開発等による東京湾岸の自然破壊に対する反省の気持ちが込められていると聞く。
開園から四半世紀をかけて築かれてきた水辺環境のおかげで、現在、この公園には226種もの野鳥が集まり、なかには絶滅危惧種に指定されている生物もいる。

この葛西臨海公園は、東京オリンピックのカヌースラローム会場の建設予定地になっている。
施設建設関する問題は、昨年夏頃から日本野鳥の会等がプラン見直しを訴えてきたので耳にした人も多いのではないかと思う。
公園が競技施設の建設候補地であることは以前からオリンピック・パラリンピック招致委員会のホームページにプランとして掲載されていたことだけれども、地域での具体的な説明はなされていなかった。
それなのに東京オリンピック開催が確定すると、まるで決まったことのように報道された。
都立公園の環境は、住民に断りもなく好きに破壊してもいいということだろうか?

建設は公園の一部、野鳥園ではないから大丈夫という人がいる。
なくなるのは芝生や夏には干上がることもある小さな池だから問題ないという人もいる。
本当に?

私はこの公園に10年以上通い続けている。
雨の日には、数多くの野鳥が芝生で地虫をついばんでいるのも見たし、小さな池には意外なほど多くの生き物がいる。

施設そのものの環境影響のほかに、忘れてならないのは、施設はいきなり建設予定地に出現するものではないということだ。
工事車両や資材、重機の類いが園内を行き来することになる。
騒音も発生する。
これが公園一帯の環境に何の影響も与えないといっていいのだろうか?
施設候補地の見直しも視野に入れ、きちんと環境影響を調べて貰わなくていいのだろうか?
私には、どうしてもいいとは思えない。

実は、私はこれと同じ事を昨年の夏以降、しばしばTwitterでつぶやいた。
賛成してくれる人も多かったが、「もともと造成地に作った公園なんだから潰してもいい」「あんな小さな区域のことで騒ぐな」「人の手で作られたものは自然環境とは関係ない」等という意見も寄せられた。

最も凄いと思ったのは、「東京は自然環境を手放して繁栄を手に入れたんだから、今さらつべこべいいうな」という意見と「国を挙げて開催するオリンピックを妨害するのは非国民だ」という意見。
この2つを例にとるのはさすがに問題があるけれど...。

人間の手で作り出した水辺環境には意味がないのだろうか。
造成地に築いた緑は守る価値がないのだろうか。
もしそうなら、壊してしまった自然を取り戻す取組は無駄なんだろうか。

一都民として、東京都知事になる人には、ぜひ意見を聞かせてほしいと思う。

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コメント(1)

難しい社会になってしまったとつくづく思います。十人十色の意見が主張されていて、民主主義教育の成果でしょうか。私個人は、慣れ親しんだ公園の景色が変わることに、寂しさを感じます。今までの年月に、その場その場の思い出が埋まっています。施設用地になってしまう場所では、その思い出が跡形もなく消えてしまいます。
目先の計画を最優先させて、後はどうでもよいという人間のエゴを感じます。

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