ざわざわする音、嫌いじゃない。
ざわざわする音、嫌いじゃない。
うん、システムは稼働中だよ。
暖かいもん。
風は嫌い。
もしかすると雨よりも嫌い。
地面が温まると、風から鋭さが消える。
ああ、これだ。
冬の外猫たち。
冷え込む朝には、若い猫でさえ洟が滲んでいることがある。背中をなでたのをきっかけに、長く続く苦しげなくしゃみをすることもある。
歳をとって、薄く、軽くなってしまった猫などは、さぞ寒気がつらいだろう。外で生きていくのは並大抵ではない。
それでも‥
たとえば、登ったばかりの朝日を全身に浴びている猫の姿は美しく感じる。夕暮れ、迫り来る夜に身構える姿は凛々しく見える。
こうした、生きているものの、生命の美しさの一端を捉えることが、私が猫たちを撮る理由なのだろう。
ともに限りのある身であり、すぐに忘れられてしまう存在に過ぎないもの同士。撮られるもの、撮るもの、いまのそのもの。
両者が確かに一緒にいたこと、一瞬の光にそれを込められれば、きっとお互いに生きていたことの価値がいくばくかは表せるのではないだろうか。
私の写真などは拙く儚いものだが、もしも、だれか一人にでも、こうした思いが伝わるものであれば、儚いなりの意味もあるのではないかと思っている。
アタシは朝の森そのもの。
朝の嫌なところは、カラスたちが来ることだ。
ほらもう、鳴き声がする。
これができると、ようやく朝が来たって感じがするよ。
いちばんいい場所をみつけなくっちゃ。
枯れ草ばかりだと気分が沈むよ。