冬の外猫たち。
冷え込む朝には、若い猫でさえ洟が滲んでいることがある。背中をなでたのをきっかけに、長く続く苦しげなくしゃみをすることもある。
歳をとって、薄く、軽くなってしまった猫などは、さぞ寒気がつらいだろう。外で生きていくのは並大抵ではない。
それでも‥
たとえば、登ったばかりの朝日を全身に浴びている猫の姿は美しく感じる。夕暮れ、迫り来る夜に身構える姿は凛々しく見える。
こうした、生きているものの、生命の美しさの一端を捉えることが、私が猫たちを撮る理由なのだろう。
ともに限りのある身であり、すぐに忘れられてしまう存在に過ぎないもの同士。撮られるもの、撮るもの、いまのそのもの。
両者が確かに一緒にいたこと、一瞬の光にそれを込められれば、きっとお互いに生きていたことの価値がいくばくかは表せるのではないだろうか。
私の写真などは拙く儚いものだが、もしも、だれか一人にでも、こうした思いが伝わるものであれば、儚いなりの意味もあるのではないかと思っている。
半月通信のブログ記事
早朝の撮影中、普段なら通らない高速道路の側道をふと通ってみる気になった。
と、隅の日陰にうずくまるキジシロ。
いや…うずくまっているのではなく、亡くなっていた。
3歳くらいだろうか、スマートで精悍な印象の雄猫。
首輪はしておらず、耳カットもない。
肉球は硬く、外ネコであることは間違いなさそうだ。
どうやら、高速道路を渡ろうとしてはねられたようだが、とくに目立った外傷はない。
腹ばいに勢いよく落ちて、全身打撲で死んだのだろうか。
出血も、苦しんだ様子もなく、わずかに失禁の跡があるだけだ。
うすく開いた目には登ったばかりの朝日が映り、まるで朝早くに起こされて迷惑そうにしているようにしか見えない。
でも、彼を起こすことはもうできない。
なでてみると、毛は柔らかいが体は既に硬直して冷え切っている。
さて、どうしよう。
1月3日では役所もお休みだ。
さっきから、ジョギングや犬の散歩で通りかかる人達は、気持ち悪そうに避けて通るばかりだが、放置していたらそのうち自転車にでも轢かれかねない。
少し考えて、築山のようになっている緑地帯までキジシロを抱いてよじ登った。
クマザサのグランドカバーに囲まれたここなら、誰も来ないし、キジシロのテリトリーも見渡せるだろう。
季節遅れの石蕗の黄色い花のわきに穴を掘って埋めた。
土をかけるときに改めて見ると、開いていた目は冬の陽の温もりで緩んだのか、やわらかく閉じている。
そうかそうか、眠ったのか。
陽当たりがいい高台で、ゆっくりするといいよ。
じゃ、またね。
昨年は皆さんとの出会いや交流を通じて、新しい経験を積むことができました。
依然として、大人げなく、意余って力足らずな身の上ですが、今年もできることを探し、実現できるよう努力していきたいと思います。
今年もいろいろお世話になることと思います。
何卒よろしくお願い申し上げます。
2016年元旦 シッポ追い 拝
2016年12月10日(土曜日)、この日は毒エサによる虐待が疑われている水辺に保護猫ボランティアの方を案内することになっていた。
強い寒風の吹くなか、交通の便が悪い水辺まで自転車を漕いで貰い、現地に着いてみると三毛猫が死んでいた。茂みに潜ろうとして、途中で息絶えたような姿だった。
この三毛(写真右)は、前日、一緒に水辺の猫に関する活動をしてくださっている方が来た際には具合の悪そうな様子もなく、元気だったとのこと。
毒エサを使われたという確証はなかったが、前回と同じ現場なので警察に通報して検分して貰うことになった。
結果、事件性があるという証拠はないということになったが、遺体は一応警察が引き取ることに。
今後は少しでも不審なことを見聞きしたら、すぐに通報することを話し合うとともに、同じ場所に通う複数のエサやりさんたちにも、不審な人物を見かけたら、携帯カメラなどで記録を残し、事件があったときは通報に沿えて警察に提出するようにお願いをした。
もし、虐待行為を続けようとする人物がいたら事前に防ぎたいし、今後はここを二度と虐待の起きない場所にしていきたい。
実は今回、私としては水辺を見に来て頂いた保護猫ボランティアの方には活動のアドバイスを頂けたらと思っていただけだった。
しかし、先方が捕獲機とキャリーを持参してくださっていたので、急きょ、水辺にいる猫達のうち、確保ができた3匹を保護して頂くことにした。
今後、3匹は不妊手術を受けた上で、里親募集を行うことになる。もう、この水辺に戻ってくることはない。
猫達にとっても、私にとっても予期しない別れだ。
寂しくないと言ったら嘘になる。でも、この3匹まで不審死を遂げたりしたら、寂しいではすまされない。
偶然、この場所のエサやりさんも3人居合わせて、保護に同意してくれた。これは亡くなった三毛がくれたチャンスなのかもしれない。
実はこの場所で生まれた猫達にとって、飼い猫になることが本当に幸福なことなのかどうか、一緒に活動している方も私も結論が出ていない。
とはいえ、危機が迫っている可能性がある場所、しかもこれから寒さが厳しくなる現場に人なつっこい猫をそのままにしておくことはいかにも不安だ。
ということで、いつも一緒にいるハチワレとその娘の三毛の母子、小柄で里親さんがすぐにも決まりそうな生後半年ほどのサビ猫を保護猫ボランティアの方に託すことに。
この3匹のほかは最近の一連の変事のためか、やや人間不信になっているようなので、ヒトを疑わない猫達よりも少しは安全ではないかという判断だ。
もちろん、完全に安全なわけではない。今後もいろんな人達と見守りを強化していこうと思うし、地元の警察への相談や通報も緊密に行っていくつもりだ。
(写真)右から、今回保護されたハチワレと娘の三毛、サビ猫の3匹。右端は亡くなった三毛。
今まで個人の集まりとして水辺の猫達を見てきたのだけれど、今回の件に背中を押され、一緒に水辺の猫達お世話をしてくれている方と諮って、ボランティア団体をつくることを決意した。
新しい団体の活動目標は、エサやり、TNR、里親さがしに加えて、SNS等を使った広報などになるだろう。
今、できることをやらなければならない。使える仕組みは何でも使って、仕組みがないなら作って。
大きなことはできないかもしれないけど、手を挙げてくれる人も多くはないかも知れないけれど…それでも、何もしないで嘆いているよりは前に進めるんじゃないだろうか。
今後、本ブログを見て頂いている方にも、周知や資金などでお願いすることがあると思う。
また、お世話になっているギャラリーの方々にも、広報や募金箱の設置などをお願いすることになると思う。
時期が来たら、改めてお願いをすることになるだろう。いまは何ができるのか、本当に可能なのかなど、不安しかないけれど、その先には小さな希望も見え隠れしている。
もし、本当にもしでいいので、自分に許せる範囲でご協力頂けるようなら、どうか力を貸して頂きたいと願っている。
※本記事に含まれる虐待の疑いがある事件の発生は2016年12月10日前後、この情報の初出は2016年12月11日です。
※本ブログでは、虐待の被害写真や猫達の位置情報を掲載いたしません。虐待者への情報提供となる可能性があるため、もし、位置等を特定することができた方も情報を付加しないようにお願いします。
水辺で2件の猫の虐待が起きた。
ひとつは釣り人によると考えられるもの。発生時期は2016年11月。
魚が釣れなかった釣り人が、面白半分に猫に釣り針を引っかけ、引き回したと見られている。
被害を受けた猫には釣り糸による怪我を含め、体に幾つもの傷が残された。
釣り人の多くは、水辺の猫たちの庇護者だ。
ドライフードや缶詰を持参したり、釣れた魚を食べさせたりしていたり、なかにはもっと積極的な保護活動をしている人もいる。
それだけに、こうした行為を働く釣り人がいたのは残念だ。
対策として、常連の釣り人たちに注意喚起して見守って貰うことも考えられるので、今後はその方向で声がけ等を行っていきたいと思う。
もうひとつはさらに悪質な毒エサによる殺害と思われるもの。発生は2016年12月4日(日曜日)ごろと考えられる。
水辺に住むキジシロ(写真)の遺体が、地域猫ボランティアの方によって見つかった。
実はこの子、前日の12月3日に撮影に出た私と一緒にいた。まだ若く、元気で美しい猫で、突然死する理由は見当たらない。
しかも、遺体は発見時に口の周りに黄色い粉が付着していて、不審に思った発見者が警察に通報し、現在は捜査が行われている。
現場は、以前から毒エサによる猫の殺害があったという噂のある場所。公共の場所だが公園などではなく、猫がいて迷惑する人の出るようなところではない。
いまだに飼い主のいない猫に危害を加えることが違法だと知らない人がいると聞くけれど、飼い主の有無に関わらず、これは動物愛護管理法に明記された違法行為であり、罰則規定もある。
さらに、いうまでもないが公共の場所に毒エサを置く行為は論外だ。その危険性はいちいち挙げるまでもないと思う。
実は理性的に、虐待をする人たちに届くような静かな言葉を見つけようとしているのだけども、うまくいかない。
TNRや里親捜しなど、水辺の猫たちを増やさない努力、日々の見守りや周知など、私にだって、まだできたことはいっぱいあったのではないのか。
こんな事件が起きるまで動こうとしなかったのは怠慢だ。
いまは嘆いている場合でも、慰めを求めている場合でもない。
できることを探そう。
できることをしよう。
ごめんね、キジシロ。
※本ブログには事件の位置情報や虐待現状の写真等は掲載しません。ご了承ください。
※虐待に関する情報は発生時期の明記が重要だと考えます。これは長期にわたって情報がひとり歩きすることを防ぐためです。今回の虐待が起きた時期は2016年11月〜12月初旬、情報初出は2016年12月7日です。
内容の一部引用等をされる場合は、発生時期・初出時期の情報を付加してください。
昨日10月5日(水曜日)から、第2回ミューミュー展「新作黒猫展 & NIKE展」が始まりました。
会期 10月10日(月曜日)まで、11時〜18時(10日最終日は16時終了)。
会場 銀座レトロギャラリー MUSEE(ミュゼ) 東京都中央区銀座1-20-17 http://kawasaki-brand-design.com/
日曜日の朝、撮影中のこと。
浦安の市街で、自宅前に棄てられた子猫を保護した人に出会った。
干からびたへその緒がついたままの茶白の子猫。
大きな声で鳴きながら、母猫を探していた。
「どうしよう、牛乳をあげればいいのかしら?」と保護主さん。
「牛乳はダメです!粉ミルクを持って来ますから、それをあげてください」と私。
とはいったものの、このへんに猫ミルクとシリンジを売っている店はあるのかな?
え〜っと…
ということで、近くにお住まいの画家・中島祥子さんや、キャットラウンジ 猫の館MEの小倉則子さんに朝からお手数をおかけして入手。
一方で保護主さんは、子猫の診察とお世話の仕方を習いに獣医へ。
今後のことについて話し合ったところ、保護主さんは水曜日までお盆休みなものの、その後は仕事のため家を空ける時間も多く、3時間ごとの授乳やお世話はとても無理だとのこと。
そこで、知り合いのボランティアさんに子猫専門で保護されている方を紹介して貰うことに。
結果、保護主さんから子猫専門のボランティアさんに子猫が委ねられることなった。
めでたし、めでたし。
と…、なんだか浮かない声の保護主さん。
「たった2日だけど、夜中に起きてお世話をしつづけていたら、情が移ってしまって」
「でも、この子が生きていくのに必要なお世話をすることができないのだから、お願いするのが一番なんですよね…」
「この子の命を確実に繋ぐことが大切なんだとわかっているんですが、なんだか、つらくてね」
わかります、わかります。
せめて、お留守番ができるくらいの歳の子だったらよかったのにね。
それよりも、目も開いていない子猫を他人の家の前に棄てたのはどんな人なんだろう。
命を繋ぐのに心を痛めた人がいることなんて、なんとも思わないんだろうな…
月曜日の朝、河川敷の道を自転車で走っていたら道端に鳩が死んでいた。
1羽ではない、周囲を数えてみると9羽ほど。
まるで大きな手で群れごと空から叩き落とされたような異様な感じ。
死んでいる鳩は、みんな足に黄色やピンクの識別票がついている。
野鳥ではなさそう。
鳥インフル?でも季節外れな気がする。
虐待?でも、状況が不審すぎる。
というわけで、110番通報。
最近、公園で首のない鳥が発見されていることがあるからか、電話では首を落とされていないかを確認された。
少し時間がかかりそうなので、不明なことがあれば電話して欲しいと伝えて帰途へ。
しばらくして、現場を訪れた捜査員から電話があった。
死んでいた鳩はレース鳩で、上空の高圧電線に衝突して墜落死したとものと考えられるとのこと。
わりとよくある事故で、事件性はないとのことだった。
鳥が電線に衝突死するとは思わなかったが、レース鳩に限らず、カモなどでも同様の事故はあるとのこと。
これもヒトの罪なのかな…
19時過ぎ、目の前で目撃しました。
2車線の暗い道、通りを駆け抜けようとした子猫が車に轢かれた瞬間です。
車の直前に飛び出した、小さくて素早い子猫、おそらくドライバーは気づきもしなかったでしょう。
不可抗力としかいえませんが、もし、車がもう少し徐行していたら、あるいは私がもう少し早く通りかかっていて、警戒した子猫が道を渡るのをやめていたら…と、どうしても考えてしまいます。
(以下、状況などについてです。写真はありませんが閲覧にはご注意ください)
2016年4月3日(日曜日)〜9日(土曜日)まで、新宿区若松町(都営大江戸線「若松河田」下車2分)にある野菜バル「POINT(ポアン)」で、ねこベジ2016開催中です。
猫作家の月永岬さん、パティシエの野本春菜さん、ポアンのオーナーシェフに混じって、シッポ追いの写真も展示販売中。
新作入れ替えを画策しているため、これまでの写真が揃うのは今回が最後かも?
動物由来の素材を使っていない料理やスイーツも魅力的です。
4月4日〜9日11時30分〜22時
カフェ「POINT(ポアン)」
都営大江戸線「若松河田」下車2分
新宿区若松町28-20 1F [地図]
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